「国防」 を読んで


この本を読もうと思ったきっかけは残念ながら忘れてしまいました。1Q84が深かったからです。


石破さんご自身が防衛庁長官、国防大臣時代の経験を踏まえて、日本の国防と安全保障の在り方について書いています。分かり易いようにまとめたと書いてありますが、読んだ時はすんなり読めるのですが、考えたり説明したりしようとすると難しくて混乱してきます。


本文の内容は、2004年です。


(ルールのない世界)
国連軍は組織されたことはなく、国際司法裁判所の判決は何の強制力を持たないということ。民間企業の間では信用のうえでと契約を結び、ルール違反があれば損をするか訴えるかできる仕組みがありますが、国内のルールで維持されている治安は、ルールのない国際社会に出ると役に立たないので、自分たちの領土や安全は自分たちで準備をしなければいけないということでしょうか。


(軍をコントロールする力)
今の日本は民主主義国家であり、民主主義を信じていれば軍をコントロールすることができる。自分たちの民主主義を信じることができるかということ。私は先の戦争に陥った主原因は、外的要因には欧米列強のアジア侵略だと思っていますが、内的要因が2つあり、国民世論の戦争への偏重と、政府が統帥権を持てなかった憲法の不備と考えています。今の日本は統帥権を持った大本営はもちろんありませんが、現代世論は軍事力を持つことに対して消極的で拒絶反応があるので、まず国際社会を信じている日本人の価値観を変えることがまず必要かと思います。


(統合防衛力整備)
一番驚いたのは、陸海空の各自衛隊が連携するシステムが今無いことです。侵入敵艦を迎え撃つ為の、陸の地対艦ミサイルはあるけど、陸からでは正確な位置を捉えることができない。捉えることができる空の哨戒機からの情報伝達経路(組織?)がないそうです。海のイージス艦弾道ミサイルを迎撃しようとして展開しても、空の戦闘機からの援護はない。陸の大型輸送ヘリを輸送しようにも、海の輸送船にはサイズが合わないとか。これって大本営の時代と同じやと思うけど大丈夫かな。。。そういうのを整備しようというのが統合防衛力整備というらしいのですが、石破さんが就任されている時から取り組んでいて、まだなかなか進まないそうです。石破さんほどの発言力や政治力を持った人が取り組んでもそういうことがなかなか変わっていかない既存構造とは凄いもんですね。



この本を読んで現在の自衛隊の力と問題点がわかりました。いつまでアメリカの傘に入り続けるのか、傘をさすのか、ささずに飛び出るのか!?1世紀後、2世紀後、日本がどうなるかは、日本の民主主義の完成度次第、と言うことでしょうか。少なくとも今の時代はアメリカと協調した安全保障体制で、アメリカの傘に入りながら、少しずつ日本の傘を拡げていく必要があると思いました。今独り立ちしても、核もない、弾道ミサイルもない、やられるまで撃てないという法律はある、ボロボロの傘だと思います。今度は、民主主義についておもしろそうな本を探してみたいと思います。その前に公民の教科書をもう一度読み直した方がいい気がします。(うーん、教科書か〜)世界中で、全ての面で民主主義が一番成功している国はどこなんだろう。