「プラネタリウムを作りました」 を読んで

先日、世界最高のプラネタリウムを作った人を紹介するトーク番組をどっかの局でみた。その人の名は 大平 貴之さん。これまで全く知らなかった。遠回しでない素直な話し方や考え方にすごく好感を持った。さっそく図書館で借りてきた。


大平さんの子供頃の話、プラネタリウムとの出会いから始まり、ロケット制作を経て、世界最高のプラネタリウム完成へ。大平さん自身の目線で書かれている。


肉眼で見える星は6等星、数千個。それを目に見えない11等星まで作り出すプラネタリウムを作ってしまった。その数は100万個以上。だが、この本を読んで私がびっくりしたことは、星の数以上に、この世界一の性能のプラネタリウムを何から何まで全て一人で挑戦して作り上げたことだ。


天体の知識だけでない。星座を天井に映し出す為の土台の星図面さえも自分で座標計算して穴をあける。その図面の材質も自分の知識と経験と失敗の中から探し出す。穴を開ける精密精巧な機械も自分で作る。穴あけ機械を制御するソフトも自分で考え、レンズの素材や、モーターや、電気回路から、品質管理の考え方、人脈やら社会経験や、モノからヒトから知識から全て自分で試行錯誤して実行してモノにしていく。構想も、部品調達も、ハード設計も、ソフトも、設備も、部品管理も、語学も、自分で勉強し、自分で試して、着くりあげていった。


本には苦労したこと、失敗したことがたくさん書かれてあるが、辛かった風ではなく、楽しかった風に書かれてある。こんなことがやってしまう人が本当にいるんや。


就職した後もアマチュアとしてプラネタリウムを作り続け、国際プラネタリウムの大会で認められた話し、SONY退社し、大平技研という会社を立ち上げて、本格的にプラネタリウムを製品として販売していくところで、この本は終わる。

それから10年近く。この素晴らしいプラネタリウムは、さらに性能を上げて、今ではアーテイストとのコラボやらで芸術の域にまで達し大活躍しているようだ。肉眼で見えない星までを映し出した夜空はどんなんやろう。MEGASTAR の星空を見た人々が感動して涙を流すという。いつか、大平さんが作ったプラネタリウムの空を見に行ける機会があれば、ええなー。

http://www.megastar.jp/index.php


藤橋城・西美濃プラネタリウム
奈良市教育センター
道の駅・富士川楽座
この辺で満天の星空が見れるようだ。