「TPP亡国論」 を読んで


TPPは過激なFTA。全品目に対して例外なく即時に関税を撤廃していく究極の自由貿易協定。モノだけでなくサービスや人の移動も含まれる。TPPに参加しなければアジアの発展に乗り遅れてしまい、自国に有利な貿易ルール作りも主導できなくなる。今アジア成長を取り込まなければ日本の経済を立て直すチャンスを失ってしまう。閉ざされた貿易を自由化し、経済を活性化させることが目的。乗り遅れてはいけない。若者は世界に目を向けなければいけない。2010年、TPPへの参加を首相が所信演説で表明。経団連、マスコミ、知識人が、ほとんど賛成した。


私は自分から考えて行動することが苦手だ。誰かが決断したことに従う。自ら後塵を拝すタイプだ。決断するのには勇気がいる。要するに誰かが出した結論に従っている。TPPに参加しよう。どうも政府が1年以上前から言っているらしい。どうも常識アンテナの感度が悪くて、昨年末にようやく、ほうほうなんだTPPは?ってな始末。今更ようやく知ろうと思ったのである。どうもTPPって大変な貿易協定らしい。開国か、鎖国か。という議論だったようだ。こんな時代に開かれていない国とはえらい問題なんだがまったくアンテナにひっかかてなかった。そしてちらちら新聞を見てみた。


関係ありそうな記事が2つ。アメリカ政府が産業界に対して、日本のTPP参加に対する意見を募った。という記事。その中で米の自動車業界は日本のTPP参加には反対で、日本の軽自動車の規制を廃止すべし。という内容。日本には軽自動車という規格がある。税金が安かったり高速道路も安かったり。軽いので燃費に有利だったが最近はまくられている。競合する小型車の弊害を取り除きたいので、基準の廃止要望を出しているのだろうか。もうひとつは、首相の施政方針演説で、外交・安全保障の項で、TPP交渉参加に向けて関係国と協議。という記事。施政方針演説の外交演説。FTAAPの実現に向けて主導的に役割を果たす。2010年、とにかく1か月でTPPに参加することをさすがに断念はしたが、TPPをさらに拡大したFTAAP実現に向けて活動するということ。


二国間で相互に調整して締結していくFTAに比べて、急進的で全貿易品目が撤廃対象となるTPP。さらにそれをAPEC21か国に拡大したFTAAP。TPP参加による経済効果(の無さ)と、短期で合意させようとする政府の異常さを、著者は説明している。既に十分に開かれた国が、自由貿易できている国が、関税が相対的に低い国が、なぜ第3の開国の名の下に、この協定に参加しようとしているのかを説明している。理論上は自由貿易は経済を活性化させるが、デフレ、円高では逆にデフレが進行する。デフレ時の今は自由貿易はNGということだ。まずはデフレ対策、内需拡大が先決だという結論に至る。いきなり飛んだが、TPPに参加したら、○なって△なって×なって、という説明は、本を見ずには出来ないが、政府が本当に、○→△→×を論理的に考えてこの貿易枠組みに参加しようとしているのか、疑問に思えてくる。そして今日の新聞にもTPP拡大版貿易協定についてが載っていて、それを批判する記事はないということは。。。新聞も、経済界も、大賛成済みなのか。。。


著者が説明する説明のどこかに間違った論理があるのだろうか。「TPPに参加」という結論ありきで、誰かが決めたルールに日本全体が従おうとしているのではないか。誰かが日本の将来の為に考えてくれたルールだといいのだが。


1/26,27日経
輸出立国の崩壊。貿易収支赤字は地震と欧州危機による。輸出に頼らず投資で稼ぐ構造に転換が必要。4か国日本のTPP参加を了承。初夏までに各国と協議予定。5月に首相はアメリカ訪問予定。アメリカは国内のデフレ対策。物価安定と雇用回復を優先する。この新聞に載ってる「日本のTPP交渉参加に向けた主な日程」の最後はなぜか米国大統領選で終わっている。どうもそれまでに参加した方がよさそうだ。