フリーメイソン を読んで



フリーメイソンは裏で世界を操る秘密結社で、万物を見通す目は、世界の至る所で社会を見張っている!千円札に見張られているのも本当かもしれないと密かに恐れおののいておりました。この本を友人が紹介していたので読んでみました。果たして答えは。。。


フリーメイソンの起源については様々な説がある。ヨーロッパでは17世紀まで宗教が大きな影響力を持っていた。18世紀になるとこれまで神を中心にした神秘主義から、人を中心にした合理主義へ発展していった。その変わり目の1717年、近代フリーメイソンはロンドンの居酒屋で生まれた。フリーメイソンは独自の主義や主張を持たない。すべての人間が同意できる新宗教(=徳のある人の実現)を目的として活動し、道徳法(=倫理・モラル)に従い善良な人間になることが求められる。愚かな無神論者、非宗教的な自由思想家(リベルンタン?リべノンタン?わかんね)にならないように戒めている。ただ、地域や時代、参加する人によって、思想は多少変容するが、大きくは神秘主義と合理主義を両立して考えようとした活動だったようだ。


フリーメンソンは、日本ではなかなか普及していなかった為、都市伝説のような噂が先に広まった。そして私はビビッていた。アメリカでフリーメンソンって何と言うと慈善団体と答えが帰ってくる。会員数も多い。それはなぜか。アメリカ独立戦争の時代にさかのぼる。フリーメイソンボストン茶会事件で大きく関与、フランクリンは仏との同盟を得ることにも貢献した。ワシントンはフリーメイソンでありその後13人がフリーメイソンが大統領となった。合衆国国璽には真実の目とエジプトピラミッド。著者は、「フリーメイソンによって独立・国家建設が続けられたというフリーメンソン史家の主張もあながち見当外れでない」としているが、見当外れどころかギンギン影響している気がするのだが、いつものごとく私の見当がずれているのだろうか。とにかく、そういうイギリスから独立した建国当時から、移民者やら英以外の欧州諸国のフリーメイソンが大きく影響して今に至り、そのためアメリカにはフリーメイソンが多い。となる。



フリーメンソンが日本で有名になればフリメンなどと略して呼ぶんだろう。あいつフリメンらしいで。とか。そう書いてみてやっと気づいた。どっからか、メイソンじゃなくて、メンソンになってた!本当はフリメイや。こっちはちょっと語呂が悪い。ちくしょー止めや。アメリカだけでなく、フランス革命やドイツのイルミナティや、有名な発明家、冒険家はことごとくフリーメイソンだった。これだけ世界史のターニングポイントに影響を与えてきたフリーメイソンが、ただの集まってお茶する慈善団体や社交クラブなのだろうか。少なくとも目的の為に何か議論し行動し続けているのではなかろうか。


著者は、あとがきにて、「フリーメイソンの全貌を明らかにしたとは思っていない。この巨大な組織の一面を紹介したに過ぎない。」と。そのあとがきと、エピローグには、“日本にとってのフリーメイソンとは何か”という話題を中心に著者の考えが凝縮されていると思う。この本はエピローグとあとがきにあると言えよう。ここまでは単なる前置きの感が強い。


西洋の思想は1700年を境に大きく変わる。超自然的な啓示を否定し、人間の理性を重んじた理神論が生まれる。それまでは神様への接近が最終目標だったが、人々の追求は道徳的完成が目標に変わったが、神の元に平等であり自由であるとされた。欧米化を強要された日本への影響は、すべてがそうであるが、憲法を例にしている。大日本帝国憲法の主権は天皇日本国憲法の主権は国民。マッカーサによって作られた憲法には、合衆国建国やフランス革命のロックの思想を源流とする精神のエッセンスが注入されている。だから単に素晴らしいと言っているのではないだろう。


西洋的な「主権」や「人権思想」には必ず神が存在していたし、それは現在も存在している。確かに、政治家が十字を切ったり聖書に手を置いて宣誓したりするのを当たり前に見る。「主権」や「基本的人権」は、西洋文明、つまりキリスト教の価値体系を考慮しなければ正しく判断できないという。「個性」「教養」「道徳」という観念、想像力を持った豊かな個性が目指す人間像とは何か。単に社会生活を営む上で守るべきルールに過ぎないのか。


フリーメイソンとは何か?という問いかけが、西洋文明が「神」と「人」との複眼で見ていることに気づかせる。近代以降、日本が西洋の文明や価値観を輸入し始めた時から現在に至るまで、「神」という存在をどのように扱ってきたのだろう。神仏分離令による明治の考え方、大東亜戦争後の考え方の変わり様。どちらにせよ、神を敬うのはおみくじを引いた瞬間だけの私にとって、日本人の神の観念とは?日本人の教育とは?道徳とは?と聞かれても難しすぎる。フリーメイソンを何かオカルト的に考えていたが、そんなことはどうでもよくなった。


フリーメイソンの活躍が始まる時期、七年戦争独立戦争フランス革命、世界史が復習できてよかった。単に年号順でなくて、フリーメイソンという切り口で教えたら授業も楽しかろうに。