「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら」を読んで

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの「マネジメント」を読んだら」 著 岩崎 夏海

今まで店頭で見てもあまり読む気が起こらなかった本ですが(イラストが特に)、上司がこの本について話しているのを聞いたので、共通の話題を作る為には読まなきゃ損か、と下心で買いました。

涙あり、感動あり、マネジメントあり、のおもしろい内容でした。みなみはピンチや成長の度に、ドラッガーの「マネジメント」をバイブルとして立ち向かいます。企業経営を野球部という組織に当てはめ甲子園に導いていきます。

著者は、AKB48をプロデュースに携わった方。ドラッガーの「マネジメント」を読んで自分の仕事もマネジメントをしたんでしょうか。いつか私もこのマネジメントを生かせる日が来るんでしょうか。

いつものことですが、このあとは本のあらすじ書いただけです。


3年生が地区予選で敗退し、新チームに入れ替わる時期。みなみは高校2年の夏休み直前に野球部のマネージャーになる。みなみには熱い決意があった。野球部を甲子園に連れて行くこと。そう考えたら考える前にマネージャーになっていた。


みなみは、どうすれば野球部を甲子園に連れていけるか策があるわけではなく、マネージャーが何をするかさえも知らなかった。そこでみなみはマネージャーとは何かを知る為に本屋に行き、マネージャーに関する本を求める為に本屋に行く。店員からピーター・F・ドラッガーの「マネジメント」という本を勧められる。企業経営に関する本であることに買ってから気づき愕然とするが、野球部の経営に繋がると割り切って読み進めていく。


みなみは、このドラッガーの「マネジメント」をバイブルとして、試練に立ち向かう。困った時、分からくなった時、この本を立ち返り、考え、解を得る。そして真摯にそれを実行していく。


みなみは、野球部の使命とは何かを考えた。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的。「顧客は誰か」の問が個々の企業の使命を定義する上で重要。そして遂に野球部という組織にとっての顧客が誰なのか、また、その「顧客が満足するものが何か」、についてメンバーのアドバイスにより改めて甲子園に行くことが目標として設定される。


企業は二つだけの機能を持つ。「マーケティングイノベーション」。それのみが成果をもたらす。「顧客の現実、欲求、価値」を引き出す方法を考え、そして次々に実行していく。


部員達にやりがいを持たす為には、「責任を持たす」こと。その為には
①生産的
②F/B情報
③継続学習が不可欠
である。みなみはマネジメントを組織化する。


秋の大会が始まる。春の甲子園へと続く重要な大会。結果、彼等は初戦で敗退する。だがその試合後のミーティングで起こった出来事が今後のターニングポイントとなる。「フォアボールを出したくて出すピッチャーはいないんだ」監督のその言葉に、ピッチャーは泣いた。熱い青春がぶつかり合う。


みなみはこの直後、チームの成長のタイミング一点を逃さない。成長には準備が欠かせない。準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く。

練習方法の改善に取り組む、より生産的に。
①(分析)毎日の練習内容の分析
②(総合)練習内容の改善
③(管理)自己目標管理
④(道具)あらゆる道具を使う


やりがいと責任は表裏一体。特化した分野で選手達を生かす。選手たちは自分の役割に対する責任感を強め、切磋琢磨する。練習内容は日々改善され強くなっていく。年が明け、夏の大会まで半年を切る。だが、甲子園レベルには遥かに達していなかった。目標が常識はずれの非現実的であることを実感する。


マーケティングのみでは企業としては成功しない。企業が存在するのは成長する経済のみ、あるいは、少なくとも変化を当然とする経済においてのみ。みなみは新たな課題を打ち破るべく突き進む。変えるのは野球部ではなく、高校野球界。組織外にもたらす変化。


みなみのマネジメントの組織が考えるイノベーション。池田高校の蔦監督「山彦打線」、取手二高の木内監督「心の野球」、野球界を変える3人目の監督となるよう、みなみは監督を促す。


次に野球部が取り組むは社会問題についての貢献。
①自らの組織に特有の使命を果たす
②仕事を通じて働く人たちを生かす
③自らの組織が社会へ与える影響を予測した上で、
社会問題の解決に貢献する必要がある。他の部活にマネジメントコンサルタントを始める。他の部と合同練習を始め、相互に弱点を補強、強みを伸ばす。地域の小学生の指導、大学との練習試合。


マネジメントの正当性について、組織とは、個としての人間一人ひとりに対してまた社会を構成する一人の人間に対して、何らかの貢献行わせ、自己実現させる為の手段。組織は事なかれ主義の誘惑にさらされる。成果とは打率であり、長期のものである。トップマネージメントチームを結成し、責任分担、自分野に集中して取り組む。新入生の季節、最適な部員数に絞る。規模の不適切さはトップマネージメントが直面する最も困難な問題。


甲子園をかけた最後の大会。部員たちはそれぞれの任務を全うし勝ち進む。部員以外、応援の人々、地域の人々、全員の呼吸が重なる。しかし甲子園を目前にして、みなみはマネージメントに一番重要な真摯さとは何かについて考えさせられる事件が起こる。一番身近に居た病気の親友の、“何かの値”は下がらかった。本来の自分のマネージャーの意義について考える。


野球に対する思い、自分の腹の底から思いを伝えていなかったのは、みなみ自身だった。だが、周り部員達はそれを知った上で彼女がマネージャーであることを認めていた。


真摯さとは。