「妻をみなおす」を読んで

この本は、妻とどうすればうまく付き合えるかを教えてくれる本ではない。けんかばかりしてどうしたら妻と仲良くできるかと期待してこの本を手にすれば、おそらく文章が高尚すぎて苦労する。(私の読解力がないからか。)妻を見直すというテーマは途中から出てくるので、序盤の悪い女、いい女のテーマからの繋がりがよくわからなかったが、著者の波乱万丈な人生経験と死を見据えた文章は潔くておもしろい。


「妻をみなおす」 小嵐 九八朗


アメリカの個人主義は、金と名声のドリームを追う。ギラギラした醜い個人の集合体に、50、60代の日本の女は非常に酷似してきた。戦争中の非国民やアジア人を銃後で容赦なく排除したのは女だった。


醜い女は努力して勝ち取ったものでない押しつけ憲法による男女同権で助長し、フェミニズムを拡大する。命を懸けた男たちも当たり前に受け入れてしまった責任がある。自惚れで、批判を許さない横柄な女性に対する批判を続けるうちに、されども自分は人に文句を言えたものかと自己反省をすれば、見えてきたのは傍らにいる妻。そして妻を見直すというテーマに移り、やがて、夫として、男としての生き方の作法と美学を説く。


男は、女特有の非論理性、責任転嫁の感情依存主義、独善性、無反省の性に陥っては決してならない。高級ブランドを手に入れる意味を考え、つられて女のようになってはならない。個性を知り、他者を見習い、洒落者であり、質朴であれ。生きる為には、己が無知であることを知り、自分を見つめなおすこと。世間に風潮に流されず、文化は先人の蓄積の上に成立する事を知る必要がある。


そして、夫婦は今まで人類が経験したことのない時代に挑むことになる。核家族制でかつての大家族制の知恵が切断され、不倫流行、長寿社会となる。我が日本は自国の歴史と現在の強さを知ろうとせず、日米同盟と称し誇りと自主性ゼロ。そんな大時化の海へ挑む。


50代半ばから読むべき著者お勧め書物。
ブッダの言葉」死がソフトなものに思えてくる。
オイディプス王ギリシャ時代の戯曲。
荘子」差別問題の先駆書
ソクラテスの弁明」自分の智慧は実際に何の価値もない。
旧約聖書ユダヤ教にとって律法の書
「般若心経」色即是空、空即是色、シャーリーシでお馴染み。
新約聖書」神との新しい契約の書
コーランマホメットアッラーの意思を読み聞かせたもの
万葉集」防人の、庶民の、皇子の歌。
歎異抄親鸞の弟子著


死に際には、至らぬ自分とここまで付き合ってくれたことへの感謝と敬意を払うこと。駄目妻、わからんちゃん妻、悪妻であっても、ここまで一緒に生きてくれば半分は夫の責任として、妻がいることに嬉しさを噛みしめなければならない。死の苦悩と疲労に出会い最後の瞬間を覚悟する時、新婚直前より二人の関係は深くなる。


私は先に死を迎えるであろう両親のことを考えてしまった。難しい本でした。また、なが〜